【ハナヤマ通信】348 睡眠導入剤と椎骨のズレ

 寝苦しかった夏も過ぎ、ようやくぐっすり寝られる季節がやってきた。

 

だが、せっかくの季節にもかかわらず、日々眠れずに苦しんでいる人がいる。いわゆる、不眠である。

 

 

 不眠の原因は、大きくは2つに分けられるようだ。

 

一つは、仕事が忙しいとか、赤ちゃんの授乳でとか、騒音のせいでなどの、病気には関係のないもの。

 

もう一つは、どこか痛い、かゆい、咳が止まらない、下痢が続くなど、病気を原因とするものである。

 

 

 ところが、病気であっても、ウツ病のように、身体的な症状がほとんどないのに、眠れない人がいる。

 

そして、その多くは、慢性的に睡眠導入剤を処方されている。

 

 

 睡眠導入剤の代表的なものに、デパスという薬がある。

 

当院にも、眠れないからといって、デパスを常用している人が来られる。

 

皆さん、意外に気楽に睡眠導入剤を飲んでいるようだが、そういう人には、

 

「デパスを常用しているとボケますよ」

 

と、忠告させていただくことにしている。

 

 

 実際、デパスなどのベンゾジアゼピン系の薬は、高齢者が常用すると、認知機能や運動機能の低下を引き起こすといわれているのに、知らないで飲んでいる人は多いようだ。

 

しかも、ベンゾジアゼピン系の薬は、常用性や依存性が高いため、急に服用を止めると、離脱症状で苦しむことになる。

 

まるで、麻薬のような性質をもっているのである。

 

 

 ある80代の女性は、神経内科で処方された、ベンゾジアゼピン系のリボトリールという薬を、何年にもわたって服用していた。

 

強烈な眠気を催す薬なので、ほとんど起きられなくなったが、服用をやめようとすると、今度は激しい離脱症状が現れて、大変な経験をした。

 

薬が切れてきた途端、「頭が変になりそうだ!」と叫ぶ姿は、見ているほうもつらいものである。

 

 

 そのような強い作用を及ぼす薬であるのに、無自覚に処方する医師は多い。

 

そして、判断能力の低下した高齢者を相手に、「変わりはないですか。では、同じ薬を出しておきますね」と言い続けるか、さらに薬の種類を増やすかのどちらかで、「そろそろ薬を減らしてみましょう」などという医師は滅多にいない。

 

しかし、睡眠導入剤を常用している方たちに、いくらこのような薬の恐ろしさを伝えてみても、説得力はない。

 

ほとんどの人は、「だって眠れなくてつらいんです」というだけで、不眠は不可抗力だという反応を示す。

 

確かに、加齢とともに睡眠の質が低下するのは事実だが、本当にそれだけが原因かどうかは疑わしい。

 

 

試しに、夜、眠るための3つの生活改善策を挙げてみる。

 

  一つ、夕方以降に、お茶やコーヒーなどのカフェインを摂らない。

 

     (摂取後8時間は影響する。抹茶入りのお菓子も要注意)

 

  一つ、テレビやスマートフォンなどを、寝る直前まで見続けない。

 

     (視覚からの刺激が強すぎて、脳が覚醒してしまう)

 

 一つ、昼寝をしない。

 

     (するなら10分程度の仮眠に留める)

 

 

  こんなことは当たり前だと思うのだが、「眠れない」という人に限って、テレビの話をした段階で、猛烈な拒否反応を示す。

 

要は、一切の努力なしに何とかならないか、ということらしい。

 

そういう人が相手では、このようなアドバイスは、いつも徒労に終わるのである。

 

 

 さて、本人の努力はともかくとして、実は、不眠には椎骨のズレが深くかかわっていることがある。

 

椎骨のズレが原因である場合、ズレを戻した夜は、今までにないぐらいグッスリ眠れたという人が多い。

 

椎骨のズレは、交感神経を刺激して睡眠を阻害するので、ズレを戻して副交感神経が優位に働くようになったことで、熟睡できるのだろう。

 

また、ズレのせいで過活動膀胱を引き起こし、就寝中に何度もトイレに起きていたのが、矯正後は、朝まで一度も起きずにすんだという人もよくいる。

 

 

 もちろん、ズレによる疼痛が消えることで、睡眠が充実する効果もある。

 

しかし、椎骨のズレによる疼痛は、医学的に全く認識されていないため、ウツ病の症状の一つだと診断されることが多い。

 

そのせいで、デパスと同時に、リリカ(プレガバリン)を処方されている人もよくいる。

 

 

 リリカは、ウツ病の疼痛症状の他に、線維筋痛症や帯状疱疹後神経痛にも処方される薬である。

 

当誌でも何度も取り上げてきた通り、線維筋痛症や帯状疱疹後神経痛は、椎骨のズレが原因だと私は考える。

 

 

このリリカは、疼痛信号であるグルタミン酸の中枢神経への放出を妨げる作用をもつ薬である。

 

そのため、疼痛に対しても、ある程度の効果を発揮する。

 

だが、なぜリリカが疼痛に効力があるかについて、医学的にその理由がわかっているわけではない。

 

実は、その仕組みは、私が今まで発表してきた理論(花山理論)を用いれば、簡単に説明がつくのである。

 

 

 グルタミン酸ナトリウム(※)を過剰に摂取すると、中枢神経系において、興奮性の神経伝達物質であるグルタミン酸の濃度が高まる。

 

グルタミン酸は、受容体に作用して骨格筋の緊張を高めるが、大量に摂取すると、骨格筋の異常な収縮が起こり、椎骨が片側に引き寄せられる。

 

これがアシンメトリ現象である。

 

この引き寄せられた椎骨が、近傍の知覚神経を刺激して、疼痛を引き起こす。

 

このように考えるのが、花山理論である。

 

(※MSG。「アミノ酸等」と表示されている、いわゆる化学調味料)

 

 

 このストーリーのなかで、リリカはグルタミン酸の中枢神経への放出を妨げるのであるから、それが疼痛に対して、ある程度の効果を発揮することは予測できる。

 

しかし、リリカの服用で、疼痛の直接の原因である、椎骨のズレが解消するわけではない。

 

ズレが解消しなければ、疼痛が完治することはないので、患者は慢性的に薬を飲み続けることになる。

 

逆にいえば、椎骨のズレのメカニズムさえ理解できれば、薬などほとんど必要なくなるはずだ。

 

 

 もしあなたが、最近、よく眠れないのであれば、食事内容を見直し、体を動かして代謝を良くしたうえで、前掲の不眠予防の3ヶ条を参考にしていただきたい。

 

もちろん、これは不眠に限った話ではなく、体の好・不調の多くは、何らかの行動の結果であり、自助努力にかかっている部分が大きいものなのである。

 

                             (花山水清)

 

 

 

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     ■記事提供/花山水清 ■編集・発行責任/有限会社花山水清
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