【ハナヤマ通信】367 成長痛だけじゃない子供たちの骨のズレの問題

 モルフォセラピーでは、定期的に指導者たちが集まって、症例を発表する会がある。

 

そこでは毎回、重大疾患や難病に対する施術の、効果実績が報告される。

 

そのなかで先日、「おや?」と思う発表があった。

 

 

 小学6年生にもなるのに、いまだにおねしょが続いて困っている子供が、親御さんに連れられてきた。

 

そこで施術者は、その子のズレている骨を矯正した。

 

するとその夜から、おねしょがピタッと止まったという話だった。

 

 

 同様のことは、大人の尿失禁や尿もれの場合にも当てはまる。

 

ただし、子供のおねしょと大人の尿失禁や尿もれとは、分けて考えなければいけない。

 

本来、子供がおねしょをするのは、ごく自然なことである。

 

逆に、子供の頃に一度もおねしょをしたことがない人など、いないはずだ。

 

そのような、誰にでも共通して発生する生理的な現象を、病気とはいわない。

 

成長するにつれて、皆おねしょなどしなくなるものだ。

 

ところが、先述の子供のように、ある程度の年齢になってもおねしょが続くようなら、夜尿症として病院での治療の対象となる。

 

 

 夜尿症は、大人の尿失禁と同様、医学的には原因がわかっていない。

 

そのため、成長期に特有の、不安定な精神状態の影響だと診断されることも多い。

 

だが、夜尿症の原因が精神的なものであろうとなかろうと、医学上、確定的な治療法が存在しない点に変わりはない。

 

 

 一般的に見られる大人の尿失禁・尿もれは、脳疾患などの特殊な例を除けば、腰椎や骨盤がズレることで引き起こされている。

 

また、腰椎・骨盤のズレが原因であることから、腰痛を併発している場合が多い。

 

つまり、腰痛患者が増えれば、それに比例して、尿失禁や尿もれの患者も増えることになる。

 

この現象が、大人だけでなく子供にまで広がっているようなのだ。

 

 

 確かに、しばらく前から、腰痛持ちの子供は珍しくはなくなった。

 

これは、腰椎や骨盤がズレている子供が増えたからである。

 

さらに、腰椎・骨盤だけでなく、他の椎骨もズレている。

 

そのため、子供の体には、頭のてっぺんから爪先まで、さまざまな症状が現れる。

 

しかし、子供の場合、それらの症状で病院を受診しても、主に成長痛として処理されてきた。

 

 

 成長痛とは、成長期の子供に見られるひざ痛や、かかと痛などの関節痛のことである。

 

そのほとんどが、病院の検査では問題が見つからないため、体の急激な成長によって生じたひずみが、症状の原因だと考えられていた。

 

しかしその後、成長痛は成長そのものとは関連が少なく、精神的なものが原因だといわれるようになった。

 

ところが近頃では、成長痛のことを骨端症などと呼ぶようにもなっている。

 

 

 骨端症とは、成長軟骨層が外傷やストレスによってダメージを受けることで、ひざやかかとなどに特徴的な疼痛が生じる疾患だといわれる。

 

だが、それらの疼痛は年齢には関係なく、ごく一般的に見られる症状だ。

 

成長痛と呼ぼうが、骨端症と呼ぼうが、ひざやかかとなどの下肢の痛みは、ほとんどが腰椎・骨盤のズレが原因である。

 

 

 医学の世界では、原因が特定できない症状に対して、あれこれと病名を付け替えてお茶を濁すことが多いようだ。

 

しかし、それで治療成績が上がった試しはない。

 

そもそも、痛みという症状に対して、大人と子供で診断名を変える理由などどこにあるのか。

 

子供だけしか痛みを感じない疾患などあるわけがないのだから、全く合理性に欠けた意味不明な思考である。

 

それらは、単に関節痛としてくくるべきであって、治療の際に、成長に応じて対処の仕方を変えればよいだけの話だろう。

 

 

 実はモルフォセラピーでは、成長期の子供に対する施術は、あまり積極的におこなっていない。

 

成長段階にある子供の骨は大人ほど丈夫ではないので、大人に対するよりも用心して、かなり弱い力で施術する必要がある。

 

また、子供というのは、身体の状況や意思を大人ほど適切には表現できないことから、思わぬ誤解が生じる危険性もある。

 

そのため、施術に際して、大人とは比較にならないほど神経を使うし、われわれは医師ではない以上、危険を回避することを優先すべきだからである。

 

 

 だが、実際のところ、大人よりも子供のほうが、モルフォセラピーの施術効果は大きいようだ。

 

成長段階にある分、大人よりも回復力が大きいのかもしれない。

 

また、子供の骨のズレを矯正すると、さまざまな不快症状が解消されるだけでなく、副次的に、急に身長が伸び始めることがあるのも興味深い。

 

 

 椎骨のズレというのは、椎骨が傾いている状態である。

 

そこで、椎骨の傾きを正しい位置に戻してやると、その分だけ身長が伸びる。

 

つまり、身長が伸びたというよりも、本来の身長に戻るのである。

 

それでも、何か所も骨がズレていれば、大人でも1、2cmぐらいは身長が変化するものだ。

 

ところが、子供の場合、ズレを戻した直後から、急に身長が伸び始めたという感想を聞くことが多い。

 

私だけでなく、他のモルフォセラピーの施術家たちからも、そういう症例を聞くことがある。

 

正確に証明することはできないが、骨のズレが子供の成長を阻害していた可能性は、十分にあるはずだ。

 

 

 例えば、椎骨がズレると、成長軟骨に不自然な力が加わる。
植物でも、障害物があるとまっすぐには伸びてくれないのと、同じことだろう。

 

また、成長ホルモンの分泌にも、骨のズレが何らかの悪影響を及ぼしていたことが考えられる。

 

 

 そういえば、戦後、伸び続けてきた日本人の平均身長が、もう止まってしまったという話を聞いたことがある。

 

身長の伸びは、ある程度までは栄養状態と比例しているから、戦後の経済成長とともに、平均身長も伸び続けていた。

 

それがここに来て伸びが止まったのは、日本人としての遺伝子の限界に達したからだといわれている。

 

しかし、本当は、骨がズレている子供が増えたせいで、平均身長の伸びが止まったのかもしれない。

 

 

 元々、身長の高い・低いは、健康とは関係がない。

 

だが、そこに骨のズレが介在していたなら、平均身長の変化は、その集団の健康状態を表すバロメーターの一つとなり得るのだ。

 

もちろん、骨のズレは、身長に影響するだけにとどまらない。

 

目には見えなくても、臓器の成長やホルモンの分泌などにも、悪影響を及ぼしている可能性がある。

 

すると、平均身長の伸び止まりは、その集団の健康が阻害されている証拠だと見ることもできるだろう。

 

 

 あるところに、いくら叱っても、姿勢が悪い子やじっとしていられない子がいた。

 

親も先生も困り果てていた。

 

そういう子供たちの骨のズレを矯正したら、自然と姿勢が良くなって、じっとしていられるようになった。

 

このように、本人が体の状態をうまく言葉で表現できないせいで、周囲の大人から、厄介な子だと誤解されている例は多い。

 

さらに、近年、子供たちの運動機能の低下が著しいことも、よく耳にする。

 

遠くから見ただけでも、今の子供は、どうも骨格が妙だと感じるようになって久しい。

 

やはり、骨のズレが、大人だけでなく子供の健康にも影響していることは、間違いのない事実なのである。

 

 

 ところが、ラマチャンドラン(Vilayanur S. Ramachandran)の著書
『 脳のなかの幽霊 』が話題になって以来、医学の世界では、腰痛などの原因不明の症状は、ことごとく脳が勝手に作り出した幻覚として扱われるようになってしまった。

 

そして、その傾向がますます強くなっているのだ。

 

養老孟司氏などが大絶賛したおかげで、ラマチャンドランは、閉塞状態にあった日本の医学界の、救世主になった感すらある。

 

だが、医師たちは救われても、当の患者たちは、依然として救われないままである。

 

「本当は痛くないのに、脳が痛いと感じているだけなんだよ」などと医者からいわれれば、子供は、「おまえが悪い」といわれているように感じないだろうか。

 

子供にとって、それは痛み以上に酷な気がする。

 

いくら最先端の脳科学による分析だとしても、私には、医者が立場の弱い者に、都合のいいウソを押し付けているようにしか思えないのである。

 

                             (花山 水清)

 

 

 

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