【ハナヤマ通信】365 がんは炎症である

夢とは不思議なもので、日ごろ考えてもいないようなことが、突然現れる。

 

つい先日も、「がんはなぜ硬いのか」と真剣に考えている夢を見た。

 

がんはゴツゴツとして岩のように硬いことから、昔はがんに「岩」という字を当てていたそうだ。

 

 

 たとえ夢でも、「がんはなぜ硬いのか」というのは、かなりおもしろいテーマである。

 

そんなことは今まで一度も考えたことがなかったのに、夢のなかでは、ちゃんと解答まで用意していた。

 

それは、

 

「細胞とは、発泡スチロールの気泡のようなものである。スチロールの気泡が小さければ、その密度は高くなり、硬くなる。さらに、限られた空間で、より多く発泡したものが、がん細胞だといえる。だから、がんは硬いのだ」

 

という、もっともらしい説明だった。

 

なるほど、物理の解答としては間違っていないだろうが、医学の話としてはどうだろう。

 

だが、夢とはいえ、発泡スチロールのたとえはユニークだ。

 

 

 目が覚めてから、改めて「がんはなぜ硬いのか」について考えてみた。

 

そこでふと、「がんは炎症ではないか」という考えが浮かんだ。

 

頭をぶつけてできたたんこぶのように、打撲などで炎症を起こすと、組織は硬く腫れ上がる。

 

すると、がんの硬さは、炎症が極まった状態ではないのか。

 

実際、多くのがんで、炎症性のサイトカインが検出されているのだから、やはり、がんと炎症とは無関係とはいえない。

 

 

 米国に、ロバート・A.ワインバーグ(1942−)という、がん研究で有名な分子生物学者がいる。

 

彼には、『 がんの生物学 』という大著がある。

 

私もたいへん興味深く読ませていただいた。

 

そのなかに、「多くの炎症状態は、腫瘍促進の役割を果たす」という記述があった。

 

さらに、「がんは慢性炎症の部分に生じる」とも書かれていたのである。

 

 

 確かに、がんは、肝炎、すい炎、大腸炎、胃炎、胆のう炎などのような、慢性炎症の部位に生じることが多い。

 

また、ヤケドの炎症のあとには、皮膚がんが発症しやすいこともよく知られている。

 

その上、アスピリンのような抗炎症薬が、がんの罹患率を抑制するという事実からも、がんは炎症とのつながりが深いことがわかるだろう。

 

 

 近年、発がんに対する考え方は、多段階発がん説が一般的になっている。

 

発がんは、発がん物質による遺伝子の突然変異によって起こるという、従来の単純な説でなく、より複雑なプロセスによって起きているという考え方である。

 

そのためワインバーグも、炎症は腫瘍進展に対して、あくまでも付加的な役割を担っているに過ぎない、と説明している。

 

しかし私は、がんそのものが炎症ではないか、と考えてみたのである。

 

そして、それらの炎症にはすべて、骨のズレが関与していると想定し、そこから発がんのメカニズムを再構築してみた。

 

 

 まず、炎症というのは、それ自体は病気ではない。

 

生体の、自己防衛的な生理反応である。

 

すると、がんも病気ではなく、炎症という生理反応の一つであると捉え直すことができる。

 

 

 そもそも病気とは、何らかの病因があって、病態としての症状が現れたものである。

 

つまり、発症のメカニズムをさかのぼっていくと、必ず、何らかの根本となる原因にたどりつくはずなのだ。

 

逆にいえば、その原因を取り去れば、病気も消えることになる。

 

ところが、今の医学では、がんの病因の特定すら、できていないのが現状だ。

 

 

 ワインバーグも当初は、がんの病因はいずれ、特定の遺伝子に還元され、分子生物学で征服できるはずだと考えていた。

 

しかし、研究すればするほど、がんの共通項など見つからないどころか、さらに発がんの仕組みは複雑さを極めていったのである。

 

そのため彼は、「がんは規則性の全くない複雑なカオスの世界だ」と告白している。

 

だがここで、「がんは炎症である」と捉えることで、骨のズレこそが、すべてのがんの共通項となる可能性が出てきたのだ。

 

 

 骨のズレによる機械的な刺激は、その周辺に必ず何らかの炎症を引き起こす。

 

また、がんはズレによって刺激された神経の支配領域、つまり炎症部位に発症している。

 

これは原発巣だけでなく、転移がんでも同じである。

 

これまでの一般常識では、骨のズレが炎症の原因だとは、全く考えられていなかった。

 

だから、がんと骨のズレとの関係についてまで、だれも気づくことがなかったのだ。

 

 

 ワインバーグの著書に、胆のうがんに関する記述がある。

 

要約すると、胆のうに発生するがんは、胆石による長年の機械的な炎症が原因だというのだ。

 

もちろん、胆石の機械的な作用が胆のうに炎症を引き起こすことに、異論を唱える人は一人もいないだろう。

 

しかし私は、胆のうの炎症に関しては、胆石の有無よりも骨のズレのほうが、はるかに影響が大きいと考えている。

 

 

 以前、ある会合で、食後に腹痛を起こし、脂汗を流して苦しんでいる男性がいた。

 

まわりの人が救急車を呼ぼうかと思案していると、その場に居合わせた友人が私に、「何とかしてあげて」というのだ。

 

彼のかなり立派な体格と、食後の激しい腹痛という状況から判断すれば、胆石のパターンである。

 

とりあえず体を診てみると、明らかに胆のうの周辺が腫れている。

 

やはり胆石か、と思ったが、その腫れているあたりの肋骨が、妙な位置にあるのが気になる。

 

そこで、胸椎のズレを丹念に戻していくと、肋骨の位置は正常になり、胆のう周辺の腫れも引いた。

 

それと同時に、激痛もウソのように治まってしまったのである。

 

 

 その後の病院の検査では、胆石による胆のう炎だったのだろうと診断されたようだ。

 

しかし、胆石がなくても、骨のズレが原因で胆のう炎を起こしている例はある。

 

彼の場合も、炎症の実体は胸椎のズレだったのだから、胆石の存在は、単に炎症のきっかけだったに過ぎないと私は思っている。

 

 

 さて、通常、骨がズレても、そのズレ幅が小さければ、骨は自然に正しい位置に戻るものである。

 

だが、ズレの幅が大きいと、なかなか元の位置に戻ることはない。

 

その結果、10年も20年も、骨がズレたままで暮らしている人も、決して珍しくはない。

 

つまり、10年20年どころか、場合によっては30年も40年も、慢性的な炎症を抱えていることになる。

 

ただ、骨のズレという知識がなければ、炎症を抱えていること自体が、認識されないだけなのである。

 

 

 では、ワインバーグのいう通り、がんは慢性炎症の部位に生じるのであれば、骨のズレによる慢性炎症の部位に、がんが生じると考えてもおかしくはない。

 

さらに、がんそのものが慢性の炎症であるとするなら、その病因さえ取り除けば、がんの可逆的変化も可能になるはずだ。

 

現在の病院でのがん治療は、不可逆的治療であり、がん細胞を正常細胞に置き換えられるわけではない。

 

しかし、骨のズレががんの共通項だと認識されるようになれば、がんは制御不能なカオスの世界から、一挙にシンプルな秩序の世界へと還元できるかもしれないのである。

 

                             (花山 水清)

 

 

『 がんの生物学 』ロバート・A.ワインバーグ http://tinyurl.com/ha2hf8z

 

 

 

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