【ハナヤマ通信】356 がんと糖尿病と脱分化

 おかげさまで当メールマガジンは、今回の配信で14年目に突入した。

 

私は今まで、「腰痛とがんは家庭で治す病気にする」を目標にしてきた。

 

腰痛に関してはすでに達成しているが、最終目標であるがんについては、まだ到達できていなかった。

 

 ところが先日、モルフォセラピーの指導者の一人から、最終目標の達成を予感させる報告を受けた。

 

彼は、全身転移の末期の肺がん患者を、モルフォセラピーの施術によって、生還させたというのだ。

 

患者の家族に頼まれて、彼が施術することになったとき、患者はすでに病院での治療も尽き、担当の医師から余命宣告を受けて、自宅に帰されていた。

 

最初に見たときの患者の体は、側弯症かと思うほどの著しいアシンメトリ現象と、固くこわばった骨格筋の緊張が印象的だったようだ。

 

しかし、施術するたびに骨格筋の緊張は解け、ついに、検査上ではがんが消失するまでに回復した。

 

その後、彼は患者の家族から、神様扱いされて恐縮しているという話だった。

 

 

 確かに、がん患者の骨格筋の緊張というのは、独特である。

 

そして、施術によってがんが消えるときの、骨格筋のゆるみ方もまた、特徴的なのである。

 

私は状況的に見て、彼のモルフォセラピーの手技が、功を奏したと考える。

 

もちろん、この一例だけで、肺がんが治ったと喧伝するわけにはいかないだろう。

 

そこで、彼の施術でがんが消えたと仮定して、その可能性を推論してみよう。

 

 

 まず、私がモルフォセラピーでもっとも重視していることは、治ったという結果ではなく、なぜ治ったかの具体的な説明である。

 

今までにも、モルフォセラピーの手技で、がんが消えたと感じたことはあったが、肝心の、なぜそうなるのかという、理論の組み立てが完成していなかったのだ。

 

そもそも、正常細胞ががん化する原因そのものが、医学的にもはっきりしていないからである。

 

つまり、発がん物質等によって、なぜ正常細胞が未分化状態になるのか、誰にも具体的な説明ができていないのだ。

 

発がんの根本原因すらわかっていないのに、がんが治ることの証明などできるわけがなかった。

 

 

 ところがひょんなことから、がんの発生と消去について、私のなかで、その理由を説明できる可能性が出てきた。

 

そのきっかけは、2016年3月に医学誌で発表された、2型糖尿病の新しい発症メカニズムに関しての研究である。

 

 

 2型糖尿病とは、インスリンの分泌低下もしくは感受性低下によって、血液中のブドウ糖を細胞に取り込めなくなることで、血糖値が上昇してしまう病気である。

 

血糖値が上昇した状態が続くと、血管や神経が傷害されて、さまざまな合併症が引き起こされる。

 

日本人の糖尿病患者の9割以上が、この2型糖尿病だといわれるが、発症の根本原因まではわかっていなかったのだ。

 

それが最近、その原因に全く新たな考え方が見つかって、研究が進んでいるというのである。

 

 

 インスリンというのは、血糖値を下げるために、膵臓(すいぞう)のβ細胞(ベータさいぼう)から分泌されるホルモンである。

 

同時に、膵臓のα細胞(アルファさいぼう)からは、血糖値を上げるために、グルカゴンというホルモンが分泌されている。

 

そのそれぞれの分泌量は、交感神経の働きによって、調節されているのである。

 

 

 ところがこの最新の研究では、2型糖尿病では、膵臓のβ細胞が脱分化してα細胞に変化し、インスリンではなく、グルカゴンを分泌するようになっていることが、確認されたのである。

 

糖尿病の原因に、脱分化が関与していたとは、たいへんな驚きだ。

 

そうなると、糖尿病における血糖値上昇の問題は、今後はインスリンではなく、グルカゴンが対象になっていくことになる。

 

そういえば、知り合いの糖尿病専門医が、今まで診た入院患者で「おかげさまで完治しました」といって退院した人はいない、と嘆いていたことがあった。

 

しかし、脱分化が関係しているとなれば、治療法も一変し、近い将来、糖尿病完治に向かって、飛躍的な進歩が望めそうだ。

 

 

 さて、ここで脱分化についても、少し説明しておこう。

 

通常、細胞は幹細胞から体細胞へと分化する。

 

そして、一旦、分化した細胞は、ずっとそのままで、他の細胞に変化することはないと考えられていた。

 

ところが、脱分化というのは、体細胞から幹細胞へと、未分化な状態に逆戻りしてしまう現象なのだ。

 

これはいわば、細胞の初期化のようなものであり、それを人為的に行ったのが、あの有名なiPS細胞である。

 

 

 ではなぜ、膵臓のβ細胞が脱分化して、α細胞に変化するのだろうか。

 

その理由となると、最新の研究でもまだわかっていない。

 

実は脱分化というのは、正常細胞ががん細胞に変化するのと、同じしくみでもある。

 

がん細胞とは、何らかの理由で脱分化した未分化細胞が、自律的に過剰に増殖したもののことである。

 

そのため、iPS細胞の研究においても、いかに細胞のがん化を防ぐかが、最大の課題となっているのだ。

 

 

 また、糖尿病といえば、がんの重要な危険因子であるといわれてきた。

 

男性では肝がん、腎臓がん、膵がん、結腸がん、胃がん、女性では胃がん、肝がん、卵巣がんで、その傾向が強いようだ。

 

これを見れば、糖尿病とがんとの間に、大きな関わりがあることは否定できない。

 

だが、本当に糖尿病が発がんの危険因子だといえるのだろうか。

 

両者は、同じ理由で発症しているだけではないのか。

 

実際、2型糖尿病でβ細胞が脱分化してα細胞化することと同様、正常細胞が脱分化してがん細胞になるしくみについても、いまだ解明されてはいないのである。

 

 

 2型糖尿病もがんも、ともに脱分化が発症のカギとなっていることから見て、私は、交感神経の機能低下が、脱分化の大きな要因ではないかと考えるに至った。

 

そして、交感神経の働きを阻害する最大の原因は、椎骨のズレなのである。

 

前述の、モルフォセラピー指導者の話に登場した、末期の肺がん患者の、骨格筋の異常なこわばりのことを思い出していただきたい。

 

これは明らかに、交感神経の過度な緊張状態である。

 

その交感神経の緊張が、椎骨のズレを矯正することで解けた。

 

それと同時に、患者の体はがんから開放された。

 

そう考えられるのである。

 

要するに、椎骨のズレが原因で、交感神経の機能低下が起こり、脱分化が始まるのであれば、椎骨のズレを消去することで、脱分化のスイッチがオフになる。

 

そう考えていくと、2型糖尿病やがんの治癒のメカニズムは、脱分化の原因を取り除けば、逆分化が起こるという、きわめて単純なストーリーで構成されているのかもしれない。

 

 

 もちろん現時点では、この推論は私の想像の域を出ていない。

 

だが、がんや糖尿病だけでなく、他の多くの疾患についても、従来の医学では、単なる状況説明を繰り返しているだけであり、その発症原因に対して、理論的な説明がなされてきたわけではないのだ。

 

そのため、発症の根本原因にアプローチするような、決定的な治療法もほとんど存在しない。

 

それが今回、たとえ一例でも、末期のがん患者が生還したという事実は、十分に科学的に検証される価値があるだろう。

 

まして、がん患者への施術に挑戦した彼は、元々、治療家として実力者ではあっても、モルフォセラピーの施術キャリアは、2年にも満たないのだ。

 

これで、「がんを家庭で治す」という目標の実現にも、これから大いに期待できると思うのである。
                             (花山 水清)

 

 

 

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