【ハナヤマ通信】347 肺がんの本当の原因は何か

 前回の当誌では、日本人の死亡原因と、がんの死亡者数の統計を見る限り、がんの早期発見・早期治療は、全く功を奏していない、という事実をお伝えした。

 

なかでも、肺がんは、罹患者数・死亡者数、ともに増え続けており、他のがんに比べて、死亡率が非常に高い厄介ながんである。

 

そこで、今回は肺がんについて、さらに詳しく見てみたい。

 

 

 先日も、ある新聞に、肺がんで妻を亡くしたという、がんセンターの医師の手記が載っていた。

 

彼の妻は、早期の段階でがんが見つかったが、抗がん剤治療で、一旦はがんが消えた。

 

しかし、再発して亡くなってしまった。

 

その亡き妻を思慕する、というような内容だった。

 

 

 まず、この記事を読むと、いくつか疑問が浮かんでくる。

 

国立がんセンターといえば、日本では、がん治療の総本山ともいえる存在だ。

 

そこの医師の妻なら、かなりの早期でがんが見つかったはずだ。

 

そのせいもあって、抗がん剤で、一度はがんが消えたのだろう。

 

しかし、抗がん剤で消えたはずのがんが、なぜ再発したのか。

 

がんセンターの医師の妻なのだから、最高レベルの治療が受けられたはずなのに、なぜ助からなかったのだろうか。

 

 

 抗がん剤治療で使う用語は、一般の人にはわかりづらいので、少し説明が必要だろう。

 

抗がん剤治療では、薬の奏効率(=有効率)という言葉がよく使われる。

 

抗がん剤の奏効率とは、投薬によって、がんの面積が半分以下に縮小した状態が、一ヶ月以上続いたときに、有効だと判定するものである。

 

ここで多くの人は、薬が有効なのであれば、当然、それでがんが治るものだと勘違いする。

 

しかし、いくら抗がん剤の奏効率が高くても、治癒率が高くなるわけではないのだ。

 

 

 普通、検査で発見されるがんの大きさは、早期でもせいぜい 1cm ほどである。

 

だが、たった 1cm のがんであっても、そこには10億個ほどのがん細胞がある。

 

抗がん剤治療で、がんが消えたとされる状態を完全寛解というが、肺がんのような固形がんが、抗がん剤だけで完全寛解することは、ほとんどない。

 

たとえ完全寛解しても、がん細胞が完全にゼロになっているわけではない。

 

その残ったがん細胞が、再び増殖し始めれば、検査上では再発したことになるのだ。

 

 

 がんと抗がん剤というのは、畑に生えた雑草と除草剤の関係に似ている。

 

雑草を根絶やしにしようとして、除草剤を撒けば、大事な作物までいっしょに枯れる。

 

その後、畑はまた雑草に覆われてしまうので、畑が台無しなる、つまり患者本人は生き残れないのだ。

 

 

 当然のことながら、がん治療の最大の目的は、死亡率の低下である。

 

現在、肺がんの死亡率は、80%を超えているが、逆にいうと、20%近くの人は、助かっている計算になる。

 

しかし、果たして、肺がん患者が抗がん剤治療で助かることがあるのか。

 

私の知る限りでは、どんなに早期で見つかっても、肺がん患者が抗がん剤で助かった例はない。

 

実際に、がんセンターの医師の妻でさえ、早期発見でも助かっていないのだ。

 

肺がんの誤診率等を考慮しても、その死亡率はかなり高いといえる。

 

 

 それではなぜ、肺がんになるのか。

 

肺がんの原因と聞けば、ほとんどの人はタバコ、つまり喫煙のせいだと答えるだろう。

 

医師たちも、喫煙によって肺がんが引き起こされるのは、疑いのない事実だといい続けてきた。

 

ところが、日本人の喫煙率と肺がんの関係を調べてみると、また新たな事実が浮かび上がってくる。

 

 

 統計を見ると、男性の喫煙率は、1965年を境に急減しており、女性は14%前後で大きな変化はない。

 

それなのに、肺がん罹患率だけは急増している。

 

統計の数字を見る限り、肺がんと喫煙率との相関関係はないのである。

 

発症までに30年のタイムラグがあるという説も見られるが、それでは、今世紀に入ってもなお、肺がんが増え続けている理由の説明にはならない。

 

 

 また、統計上では喫煙をひとくくりにしていても、昔のタバコと今のタバコでは、その成分は大きく異なる。

 

私がタバコを吸い始めた頃は、ハイライトという銘柄のタバコが全盛であったが、発売当時のハイライトは、もっともタールが少ないタバコだった。

 

それが今では、ハイライトは重いタバコの部類に入り、一般には、ニコチンやタールの量が極端に少ない、軽いタバコが主流となっている。

 

それでも、依存性に変わりがないとしたら、ニコチンに代わる別の依存性の物質が入っている可能性もある。

 

その成分が強烈な発がん物質であるなら、単に喫煙率だけを比較しても、意味がないのかも知れない。

 

 

 では、喫煙と肺がんとは相関関係がないとすると、肺がんが増えている理由は何なのか。

 

私は、その原因の一つが医療被曝だと考えていることは、以前にも当誌で書いた。

 

そして、相変わらず、日本は世界一の医療被曝大国なのである。

 

日本では、子どもの頃から、毎年、定期健康診断で胸部エックス線撮影を強制的に行っている。

 

社会人になっても、それが定年まで続くのである。

 

このような国は、他にはない。

 

胸部エックス線の被曝による被害は、日本の医療の現場では、あまり重要視されていない。

 

しかし、海外のデータでは、胸部エックス線撮影1回ごとに、5.4%も肺がん発生の割合が上がるというショッキングなデータまである。

 

 

 しかも、胸部エックス線で被曝するのは肺だけでない。

 

食道も被曝するし、女性ならば、乳房も同時に被曝しているのである。

 

試しに、部位別がん罹患者数を調べてみると、2008年の肺がんは、男性67614人で1位、女性が29661人で4位になっている。

 

男女の数字に大きな開きがあることがわかる。

 

以前なら、喫煙率の差だといわれていたが、喫煙が関係ないとなれば、理由は別にある。

 

そこで、肺がんの原因を、胸部エックス線による被曝だとすると、部位は違っても、肺がんと食道がんと乳がんは、同じがんだと考えることができる。

 

そうすると、女性の乳がん罹患者数59389人と、肺がん29661人と食道がん3248人を合わせると、92298人となり、男性の肺がん67614人と食道がん17308人と合計した84922人となって、男女での罹患者数に、極端な開きがなくなる。

 

 

 また、乳がんは、肺に転移しやすいがんでもある。

 

これは、発見の時期が違っただけで、実は転移ではなく、同時発生したがんの可能性もある。

 

そのように考えていくと、胸部エックス線による被曝と発がんとの関係は、つじつまが合ってくる気がするが、統計の数字というのは、扱いが難しいので、これはあくまでも私の推論である。

 

 

 しかし、医療被曝と発がんの因果関係について、医学誌ランセットに載った研究によると、日本人の75歳までの発がんのうち、医療被曝が原因とされるのは、3.2%という数字が出ているそうだ。(※)

 

思ったよりも少ないが、それでも、この数字は他の国に比べると圧倒的に多いのである。

 

 

 だが、医療被曝と肺がんとの関係は、喫煙との関係ほど、積極的には研究されていない。

 

医療被曝による健康被害の証明は、医療の存在の根幹を揺るがす問題となる。

 

肺がんの早期発見・早期治療のメリットと、医療被曝による肺がんのリスクは、相容れない問題でもある。

 

しかし、単に肺がんの死亡率だけをとっても、どちらを選択するかは考えるまでもないと思う。

 

 

 本来なら、国は各人に対して、過去に受けた医療被曝線量の総量を記入する、「医療被曝線量手帳」を発行すべきではないか。

 

今は、薬の管理には「お薬手帳」なるものがある。

 

病院好きの患者が、あちこちドクター・ショッピングをしていても、この「お薬手帳」のおかげで、調剤薬局で薬を一元管理できるようになった。

 

それと同様に、「医療被曝線量手帳」が普及すれば、患者本人だけでなく、医療従事者の意識改革にもなるし、健康被害との因果関係も、自ずとはっきりしてくるのではないだろうか。

 

むだな被爆を避けて、発がんのリスクを下げるためにも、ぜひ実施していただきたいと思う。

 

          (※)『数字で見るニッポンの医療』読売新聞情報部著

 

                             (花山水清)

 

 

 

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【3】今 月 の 雑 感
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 ●夏の収穫

 

  畑作りも3年目。今年もお日様の恵みをありがたく頂戴しております。小
 さなスペースで、いかに効率よく収穫するかが課題ですので、今年はトウモ
 ロコシをやめて、枝豆の量を増やしてみました。土を覆うマルチも導入した
 ので、雑草に悩まされることもなく、収量も増して大満足です。(ハナヤマ)

 

 

 

  ★次回「ハナヤマ通信」は、10月7日(水)午前10時配信予定です★

 

 

 

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     ■記事提供/花山水清 ■編集・発行責任/有限会社花山水清
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