【ハナヤマ通信】346 早期発見・早期治療で本当にがんは治っているのか

この春、病気で入院していた人から聞いた話である。

 

彼女の同室に、腎臓がんの手術後の痛みで苦しんでいる50代の女性がいた。

 

その女性の話では、ここに入院する何ヶ月も前から、ずっと下痢が続いていたそうだ。

 

だが、あちこちの病院で検査を受けてみても、下痢の原因がわからないでいた。

 

それらの検査のうち一つで、たまたま腎臓にがんが発見された。

 

そこで、医師に勧められるまま、この病院で手術を受けたのだという。

 

 

 腎臓がんの手術となると、背中の側から肋骨を切り開いて腎臓を摘出するので、かなりハードである。

 

そのような手術を受けたため、彼女は寝返りも打てないほどの痛みで苦しんでいた。

 

ところが、術後の病理診断の結果、腎臓がんではなかったことが判明した。

 

つまり、全くの誤診で、がんでもないのに腎臓を取られてしまったのである。

 

 

 話はそれだけではない。

 

彼女が、術後の痛みや苦しみを執刀医に訴えると、この医師は謝意や同情を示すどころか、逆に「わたしにどうしろというんですかっ!?」と、彼女を怒鳴りつけた。

 

そのため、彼女は体の傷だけでなく、信頼していた医師の言葉で、心にも深い傷を負った。

 

さらに悲しいことには、彼女の下痢は、あいかわらず続いているのだ。

 

何とも痛ましい話ではないか。

 

 

 この話を聞いた多くの人は、これが特殊な事例だと思うかもしれない。

 

しかし、似たような話なら、私はこれまでにも数多く耳にしてきている。

 

私の知る限りでも、術後、執刀医からうやむやな説明しか聞けず、自分ががんだったかどうかすら、はっきりとしない患者は何人もいるのだ。

 

そのなかには、どれだけの誤診が混ざっていることだろう。

 

 

 先日も、過去にがんを経験したことのある3人の方と話す機会があった。

 

それぞれ、乳がん、腎臓がん、卵巣がんを手術して5年ほど経過しているが、今のところ、誰も再発・転移はしていない。

 

体を調べてみると、彼女らの体には、私が、がんの判断基準としているアシンメトリ現象が見られない。

 

病院でがんの治療をしたからといって、アシンメトリ現象は消えるものではないから、みな、元々がんではなかった可能性がある。

 

 

 また、近藤誠の「がんもどき理論」の通り、「本物の」がんであったなら、いくら早期に発見されたとしても、すでに転移しているはずだ。

 

それが、術後5年も経って転移が見られないのだから、「本物の」がんではなかったと判断できる。

 

何よりも、私は病院での治療で「本物の」がんが「完治」するとは思えないのだ。

 

 

 確かに、がんには、早期発見・早期治療が有効だといわれて久しい。

 

昔は、がんは不治の病の代表であったが、今では、早く発見すれば、がんは治る病気だとまでいわれている。

 

一般の人はもちろんのこと、医師たちですら、そのように信じている人は多い。

 

しかし、果たして本当にそうだろうか。

 

私には、がんという病気は、そんな生やさしいものだとは思えないのである。

 

 

 現在、徹底したがん検診や検査技術の進歩などで、がんはさらに早期の段階で発見されるようになった。

 

また、治療方法も、以前とは比べものにならないぐらい向上している。

 

だが、どんなに早期に発見し、どんなに優れた治療を受けようとも、いまだに、がんは日本人の死亡原因の第1位であり、がんの死亡者数も全く減っていないのである。

 

この矛盾を、どのようにとらえたらいいのだろうか。

 

 

 日本人の死因順位別死亡者数の年次推移を調べてみると、興味深い事実が浮かび上がってくる。

 

2000年には、295,484人だったがんの死亡者数は、その後も毎年増え続け、2014年には37万人に跳ね上がっている。

 

この数字だけを見ると、早期発見・早期治療をしても、全く効果が現れていないではないか。

 

さらにデータを読み進めると、2011年には、それまで死因順位の第4位だった肺炎が3位に浮上し、その後も順位に変動はない。

 

これまた、妙な気がする。

 

私は、増えた肺炎による死亡者のなかには、かなりのがん患者が含まれていると思う。

 

 

 以前、胃がん治療中だった友人は、家族で作った餃子を誤嚥(ごえん)して、誤嚥性肺炎(ごえんせいはいえん)で亡くなった。

 

肺炎とは、肺の炎症の総称であり、さまざまな原因によって発症する。

 

特に、がんの治療中は、体力低下とともに、免疫力も低下している。

 

そのため、細菌感染による肺炎にかかりやすい。

 

また、抗がん剤や漢方薬によって、薬剤性肺炎が発症することも知られている。

 

そして、私の友人のように、誤嚥による肺炎も起こりやすくなる。

 

 

 しかし、がんの治療中であっても、肺炎で亡くなれば、統計上の死因は、がんではなく、肺炎となるらしい。

 

このことは、2011年以降に限ったことではないし、いきなり肺炎が増える理由もない。

 

要は、あまりにも増え続けるがんによる死亡者数を、少しでも小さく見せるためのトリックではないのか。

 

 

 実際、がん死は、早期発見・早期治療をすれば、間違いなく減るはずなのに、なぜか増え続けている。

 

そこに、統計には現れないが、がんではないのに、がんだと誤診された数を加えれば、早期発見・早期治療ではがん死を防げないだけでなく、度重なる検査や、がんの治療そのものが、がん死を増やしている可能性もある。

 

そう考えると、この早期発見・早期治療をやめれば、統計上のがん死は減るのではないかとすら思う。

 

私の考えは極端だろうか。

 

 

 そういえば、落語の演目に、「手遅れ医者」というのがあった。

 

来る患者、来る患者全員に、「手遅れだ」と診断する、ヤブ医者の話である。

 

手遅れだと診断した患者なら、死んで当然、それがもし助かれば、あの医者は手遅れの患者を治した名医だ、といわれるから、好都合なのだ。

 

そんな「手遅れ医者」のところに、あるとき、屋根から落ちた人が担ぎ込まれた。

 

例によって、医者は「手遅れだ」と診断した。

 

すると、患者を運んできた人たちが、「こいつは今、屋根から落ちたばかりだ」という。

 

そこで、「そりゃ、落ちる前に連れてこなきゃ手遅れだ」と医者がこたえて、オチとなる。

 

とんでもない医者だナと笑う話である。

 

だが、がんに限っては、「早期発見・早期治療をすれば治る」などという医者よりも、はなから「手遅れだ」といってくれる医者のほうが、まともかもしれない。

 

いずれにしても、今の医学で、がんをつかまえたと思ってはいても、実際には、まだ全体像すらつかみきれていないのだ。

 

                             (花山水清)

 

 

 

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     ■記事提供/花山水清 ■編集・発行責任/有限会社花山水清
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