【ハナヤマ通信】343 心臓の検査と治療のリスク
先日、友人が心臓の検査を受けたら、冠動脈が細くなっていると診断された。
医師からは、カテーテル治療を提案されているという。
冠動脈とは、心臓の筋肉に酸素を送る、もっとも重要な血管である。
その冠動脈で血流が遮断されれば、心筋梗塞となって命に関わることになる。
そこで、狭くなった冠動脈に、ステントと呼ばれる金属製の管を挿入して、血管を広げるのがカテーテル治療である。
カテーテル治療が開発され、マスコミで発表されたのは、確か1990年代のことだった。
当時、なんと画期的な治療法だ、と驚いた記憶がある。
そのカテーテル治療を医師から勧められた友人は、私にどうしたら良いかと相談してきたのだ。
正直にいえば、私としては、このような相談はなるべく受けたくない。
安易なことをいうと責任重大であるし、実際、彼の冠動脈がどの程度狭くなっているのかもわからない。
だが、医師の判断でも、あまり緊急度が高い状態ではなさそうだ。
そもそも、彼が心臓の検査を受けたのも、特別な症状があったわけではなく、たまには心臓も調べておこうか、という程度のものだったようだ。
それなのに、彼はCT検査まで受けていた。
最近の病院では、心臓病を疑う患者には、即CT検査を行うようだが、以前なら、心電図や血液検査をした後で、特に心臓病の疑いが強い場合に、カテーテル検査を行っていた。
心臓の検査となると、CT検査はもちろん、カテーテル検査では、少なくとも10ミリシーベルトの放射線に被曝することになる。
当然、これらの被曝によって、将来的に心筋梗塞のリスクが跳ね上がってしまう。
現在の心筋梗塞の発症リスクと、将来のリスクをどう天秤にかけるかは、誰にとっても悩ましい問題である。
しかも、今現在のリスクの回避といっても、さらに問題がある。
発表された当時は画期的だと思っていたステント治療も、実は完成された治療法ではなかったのだ。
ステントを挿入した部分で、再度、血管が狭くなる頻度が割合高いし、最新の改良型のものでも、再発のリスクは残されている。
進歩したとはいえ、カテーテル治療そのものにも十分リスクがあるのだから、気軽に勧められる治療法とはいえないのである。
私はこれまでにも、心筋梗塞と胸椎のズレとの関係については、何度も言及してきた。
それでは、冠動脈が狭くなること自体も、胸椎のズレが影響しているのだろうか。
前回もお伝えした通り、胸椎のズレが動脈硬化の原因になっている可能性は高い。
動脈硬化は、心筋梗塞の最大の原因だといわれているが、胸椎のズレが動脈硬化を引き起こしているのであれば、冠動脈が狭くなる原因になっていると考えることも可能だろう。
しかし、胸椎のズレを戻したからといって、一度狭くなった冠動脈が、再度、広がるかどうかまではわからない。
もちろん、私がそのようなことを実際に調べることはできない。
また、実験してみるわけにもいかないから、今の私にははっきりとしたことはいえないのだ。
はっきりといえることは、過去に心筋梗塞などの心疾患を発症したことのある人の体には、共通した特徴があることだ。
彼らの胸筋はみな、異常に硬く、緊張状態になっている。
まるで、胸筋が肋骨にへばりついているように感じられることもある。
これは、明らかに交感神経が異常な興奮状態にあることを示している。
だが、そのような異常な胸筋の緊張が、胸椎のズレを戻した途端、消え去ってしまうのである。
つまり、胸椎のズレが、交感神経を介して胸筋を緊張させていたのだ。
しかも、交感神経は心筋に対しても同様の作用を及ぼしている可能性がある。
本来、心臓の機能とは、血液を全身に送り出し、循環させることにある。
そして、心臓の運動機能の優劣は、心筋の伸縮能力の違いなのである。
この、心筋と呼ばれる心臓を動かす筋肉は、胸筋などの骨格筋同様に、横紋筋という筋肉でできている。
胸椎のズレは交感神経を異常な興奮状態にしているから、胸椎がズレて胸筋が緊張状態になれば、同時に心筋の伸縮能力にも影響が及ぶと考えられる。
その結果、心筋梗塞の発症にも関係してくるのだろう。
また、一般的に、心筋梗塞の治療後も交感神経亢進状態が続くことがある。
このことが、心筋梗塞の再発の可能性にもなっている。
医学的には、なぜ交感神経の更新状態が続くのかははっきりとはわかっていない。
しかし、これも、原因となっている胸椎のズレが解消されていないからだと私は考えている。
さて、上記の友人の胸筋を調べてみたところ、ほとんど緊張状態は見られなかった。
この程度なら、さしあたって特別な治療は行わないほうが良いように思える。
また、なまじ検査など受けなかったほうが、精神衛生上も良かった気がするが、無論、私の立場でそんなことを本人にいうわけにもいかない。
もちろん、心臓の検査や治療は、命に関わる重要なことである。
それでも、その検査、治療そのものが抱える問題も看過できないのだ。
せめて、心臓に特別な異常を感じない段階ならば、心電図と血液検査に、胸椎のズレの検査を加えた程度に留めておきたいものである。
(花山水清)
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■記事提供/花山水清 ■編集・発行責任/スギタカズコ
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