【ハナヤマ通信】342 コレステロール冤罪事件

アメリカの厚生省と農務省が設置した「食事指針諮問委員会」が、この2月に、「コレステロールを過剰摂取しても血清中のコレステロール値は上がらない」と発表したことをご存じだろうか。

 

これは、従来の医学常識を根底から覆す内容だが、その後、国内のマスコミが騒ぐ気配がない。

 

 

 コレステロールを摂り過ぎると、血清中のコレステロール値が上がり、動脈内壁にコレステロールが沈着して動脈硬化の原因になるというのが、これまでの常識だった。

 

動脈硬化は脳卒中や心筋梗塞を引き起こす要因となるため、できるだけコレステロールを減らした食事が推奨されてきた。

 

ところが実際には、コレステロールをたくさん摂ったからといって、太るわけでもないし、動脈硬化になるわけでもないらしい。

 

そればかりか、逆にコレステロールは大いに摂取すべし、そのほうが体に良いとまでいうのだから、驚く話ではないか。

 

 

 国の内外を問わず、医学界でもマスコミでも、あれだけ悪玉だのメタボの原因だのと大騒ぎして、コレステロールを敵視してきたはずだ。

 

あれは何だったのか。

 

結局、根拠のない話だったというのなら、それはそれで、マスコミもそれなりの報道をすべきではないのか。

 

 

 では、食品に含まれるコレステロールが悪者ではなかったとなると、何が原因で血清中のコレステロール値が上がってしまうのか。

 

動脈硬化の真の原因は何なのか。

 

食品中のコレステロールが冤罪だったとしても、肝心の真犯人はいまだに野放しである。

 

 

 しかし私は、拙著『からだの異常はなぜ左に現れるのか』において、動脈硬化の大元の原因が、コレステロールのせいではないことをすでに説いた。

 

くわしくは、本書をご参照いただきたいが、要は、動脈硬化には、骨のズレという機械的な要因が介在していると考えられるのだ。

 

 

 頭蓋や頚椎が大きくズレた状態を見れば、それらのズレは、間違いなく頸動脈や椎骨動脈に対して障害を与えている。

 

人体の構造を考えれば、逆に、何の影響もないと考えるほうがおかしいのである。

 

ズレを戻したときに起こる血流の変化からみても、その結果は十分に予測しうる。

 

 

 しかも、同様のことは、胸椎や腰椎などでも起こっている。

 

例えば、動脈硬化による代表的な症状に、間欠跛行(かんけつはこう)がある。

 

間欠跛行とは、歩行の最中に、下肢の痛み・しびれなどで突然歩けなくなり、しばらく休息すると、また普通に歩けるようになるという症状である。

 

同様の症状は、腰椎がズレている人にしばしば見られるが、医学的にはズレという概念がないため、ズレによる影響も医学的に考慮されることがなかっただけなのだ。

 

 

 さらに、さまざまな症例や、ズレの解消後に見られる現象から判断すると、骨のズレは、交感神経の緊張状態を持続させていることもわかる。

 

この、交感神経の緊張状態の持続も、十分に動脈硬化の原因となりうるのである。

 

 

 骨のズレによってダメージを受けた動脈壁には、修復のため、マクロファージなどの免疫細胞が集まる。

 

また、修復のためには、肝臓でもコレステロールが新たに生合成される。

 

すると、血清中のコレステロール値は上昇し、血管内壁のダメージ部分には、コレステロールが沈着する。

 

このような状態が、一般的に動脈硬化だとされているのではないか。

 

 

 ここで重要なのは、これらのことが一過性の現象では終わらない点である。

 

原因となっている骨のズレを戻さなければ、コレステロール値が下がることはないし、交感神経の緊張状態も続く。

 

それが脳卒中や心筋梗塞の大きな原因となるだけでなく、発病後も同じリスクが持続してしまうのである。

 

 

 また、コレステロールが悪者ではなかったとなると、大きな問題として浮上してくるのが、スタチンと呼ばれるコレステロール降下剤の存在である。

 

スタチンは、コレステロール低下作用と、動脈硬化の予防作用を持つといわれている。

 

だからこそ、脳卒中や心筋梗塞の予防薬としても多用されてきた。

 

しかし、動脈壁の修復のために生合成されていたコレステロールまで、スタチンが減らしてしまうと、逆に、脳卒中や心筋梗塞のリスクが上がるのではないか。

 

スタチンによって、脳卒中や心筋梗塞のリスクが低下しているという医学データが正しいのであれば、それは、血清中のコレステロール低下作用のせいではなく、これまではスタチンの効果としては脇役だと認識されてきた、血管内皮機能改善、抗炎症作用、免疫機能改善などの作用のおかげではないだろうか。

 

 

 さらに気になるのが、コレステロール値を下げ過ぎると、認知機能の低下やうつ病の発症原因となる点である。

 

これは医学的にも認められた事実であるが、当の医療者でもそう認識している人は意外に少ない。

 

そのため、むやみに血中のコレステロールを下げ過ぎて、健康を損なっている可能性も否定できない。

 

こういったわけだから、コレステロールについては、今後、さらなる検証が待たれるのである。

 

 

 いずれにしても、今回のコレステロールに対する手のひら返しは、医学史に残る事件といえる。

 

確かに、医学的に正しいとされてきた認識であっても、時を経れば、定説が覆されるのは珍しいことではない。

 

今では、タバコ・肉・塩あたりも、悪役としての地位が揺らいできているようだ。

 

「それじゃあ、何を信じればいいのだ」

 

そんな嘆きが聞こえてきそうだが、医学的な常識などというのは、その程度のものだということを、われわれ自身が認識しておくしかないのだろう。

 

                             (花山水清)

 

 

 

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