タバコを吸わない
さて、今日はタバコにまつわるウソから見ていきましょう。
(1)タバコを吸えば、痩せる。
→ これはウソ。
タバコに痩せる成分が入っているわけではありません。逆に日常的に起きる禁断症状のせいで、口寂しさが増します。よほどのチェーンスモーカーでない限り、間食が増えて太ります。
禁煙した直後、一時的に太る人はいますが、それは喫煙時についてしまった間食の習慣のせいであって、禁煙のせいではありません。
ちなみに、女性の喫煙率を押し上げているのは、この「痩せる」迷信のためだと思われます。
しかし、喫煙は毛細血管を収縮させますので、お肌はボロボロになります。もちろん、髪の毛にも影響しますので、薄毛の方にもダメージ大です。
(2)タバコを吸わないとリラックスできない。
→ これもウソ。
タバコを吸うとリラックスするのは、禁断症状のイライラが緩和されるからであって、タバコの成分にリラックス効果があるわけではありません。
また、タバコの煙を深く吸い込み、ゆっくりと吐き出すことが、深呼吸になっていますので、タバコなしでも深呼吸すれば効果は同じです。
(3)タバコは意志が強ければ止められる。
→ なんと、これもウソ。
タバコは現在の日本では合法ですが、タバコの依存性はヘロインやコカインに匹敵する強さを持っています。
ですから、一旦吸い出したら中途半端な決意では止められるものではありません。
現代最強の合法ドラッグといえますので、禁煙にはプロの指導が必要です。何よりも、子ども達に喫煙の習慣をつけさせない指導が肝心です。
(4)低タールのタバコなら発ガン性が低い。
→ 意外なことにこれもウソ。
最近、タールが少ない「ライト」「マイルド」と名付けられたタバコが増えましたが、決して発ガン性が低いわけではありません。
厚生労働省の調査では、表示されたタールの量が少ないほうが、発ガン物質が多いことさえあったと報告されています。
実際、タバコの煙の中には約4000種類もの化学物質が含まれており、そのうちの少なくとも60種類は発ガン性があります。また、様々な味や香りのために添加物も600種類以上も含まれています。
(5)タバコを吸うとかかるのは肺ガンだけである。
→ 当然ながらこれもウソ。
肺ガンだけでなく、あらゆるガンの80%に喫煙が関わっています。
また、一酸化炭素やニコチンは動脈効果を促進し、心臓病なども引き起こします。
近年、死亡者が急増している慢性閉塞肺疾患(COPD)は、2020年には世界的に心臓病、脳卒中に次いで死亡原因の第3位になるといわれています。
COPDの喫煙者の罹患率は、非喫煙者の6倍も高く、日本でも2002年の男性の死亡原因の第8位、女性の第14位となっています。
このように、喫煙が体に悪いことを知らない人は今はいないでしょう。現在、喫煙により、世界で毎年300万人が死亡しています。
このままいけば、2030年には年間1000万人の人が、喫煙が原因で死亡すると言われています。タバコの中には、ベンツピレン、2−ネフチルアミン、ニトロソ化合物などの60種以上の発ガン物資が含まれています。
しかも、喫煙者の周りの人が吸い込む副流煙には、主流煙よりもベンゼンで8〜10倍、ホルムアルデヒドで50倍も多く含まれているのです。
受動喫煙による肺ガンの死亡者は、年間1000〜2000人にものぼり、心臓病などを含めると年間2万人近くが受動喫煙で死亡しています。これは、本来死ななくても済んだはずの人たちです。
今は、乗り物や公共機関・職場などでの禁煙が進んでいます。アメリカでは1970年以降、国を挙げて禁煙に取り組み、近年肺ガンの罹患率が下降線をたどっています。
しかし、日本では喫煙者の低年齢化と女性の喫煙が増えたために、いまだに罹患率が上昇し続けていることは非常に悲しむべきことです。
肺ガンのみならず、すべてのガンは喫煙と関連しています。
お酒に強い人と弱い人がいるように、喫煙者でもガンになる人とならない人がいるのも不思議なことですが事実です。
ガンになりやすい人となりにくい人を見分ける医学的な確かな方法は、まだ発見されていません。
そういった意味では、形態異常のある、なしが、確かな判断基準になりうると私は思っています。